今回のお客さまは、ボルゾイのシェリーくんです。
吠えたり・咬んだりしない とてもお利口さんな子だそうで、いつもオーナーさまのお仕事場に出勤されていたそうです。

そして、おでかけが大好きで よく海に行ったりドライブに行ったり、オーナーさまやご両親さまといつも楽しまれていたそうです。

2013年には、骨肉腫が見つかり、スラリと素敵な足を断脚したそうです。
その後鍼やマッサージにも通い、回復の兆しをみせていたようなのですが、およそ4ヶ月後に肺気胸がみつかり、2013/10/6日に永眠されたそうです。

オーナーさまやご両親さまが大変落ち込まれたとのことで、今回はあみぐるみのシェリーくんと再会するべく、作成のご依頼を頂きました。

 

 

シェリーくんの毛が沢山届きました。

全体で70gほどあります。
この毛を使用して、今回はおふたつ(大きい・小さい)お作りさせて頂きます。

二つとも 毛ぐるみ風のあみぐるみをお作りします。



それで、はじめは、シェリーくんの毛の一部を染めて使用するつもりでいたのですが、よ〜く考えると、サンプルで染める分も含めると、2つ毛ぐるみ風の飾り毛のあみぐるみをお作りするには、足りなくなるかもしれない・・・と思い、濃い色の部分は、獣毛を使用させて頂くことにしました。

色についてですが、写真の光の加減や角度によって様々な色・濃さに見える為、どんな色にしてどんな毛質のものを使用するか考えました。

さて、思いつくと在庫にピッタリのものがなく、いくつか取り寄せてみましたが、実際に手にしてみると、A獣毛は色はいいけど、毛の長さが少し短め。
C獣毛は長さと柔らかさは近いけれど、色が濃いめ。

そこでB獣毛(白)を、薄茶に染めてみることにしました。
獣毛が束の状態で染めましたので、束で見るとちょっと濃いめに感じましたが、梳かしてみると、ちょうど良い色合いになりました。
では、B獣毛を使用するか・・・と考えたところ、本犬さまの毛より少し細めで植毛の際、少し強度にかけて切れる可能性もある。

・・・なやんだ末に、A獣毛とB獣毛を混毛して使用することにしました。

写真左は(左からA獣毛・B獣毛・B獣毛染めたばかりの束です)
写真右は(左がA獣毛・右がB獣毛です)



A獣毛とB獣毛を混毛したものが下の写真です。


こちらは左の写真(左が本犬さまの毛糸・右が濃い部分の混毛獣毛毛糸)
右の写真(左が小さいあみぐるみ用・右が大きいあみぐるみ用・手前の黒っぽいの毛糸は、実際には混ざりけのある焦げ茶色です。こちらは上記で説明しているC獣毛の毛の毛糸です。お耳に使う予定)



最初に、小さいあみぐるみから作成していきました・・・その最中に大きいあみぐるみの毛糸も紡いでいました。

ところが、小さいあみぐるみを作っている最中に、もしかすると毛が足りなくなるかもしれない・・・という不安を感じました。

そこで、大きいもの・小さいもの 以後の植毛の毛も含めて あとどれくらいが必要になるのか? おおよその量を計算してみました。

やはり、かなり足りなくなる予想・・・

どうしようか・・・悩んで、大きいほうのあみぐるみの毛糸を毛に戻し紡ぎ直すことにしました。
実は、毛糸を毛に戻すことは今回が初めてのこと。毛が痛んでしまうかな?
再度紡にくい毛になるかな?いろいろと考えていましたが、なぜかむしろふわっふわな毛へと戻りました。
そのふわっふわの毛で再度、最初に編んだ毛糸よりも少しサイズを細めにし、長い毛糸を紡いだのでした。
長さを測ってみると、今回はきっちりと足りそうです。

そんな感じで、今回 少し時間がかかってしまいました。




そして、こちらが、大きいサイズのシェリーぐるみになります。(14.5cm)

こちらが、小さいサイズのシェリーぐるみです。(11.5cm)

背中の毛です。

 

横から見た感じです。
お写真では、少し毛をカットして短めに見える本犬さまと、毛が長めの本犬さまのお写真がありましたが、あみぐるみのほうは長めに近いと思います。

ただ、ボルゾイさんの毛は、毛がペタっと寝ているところもあるので、あみぐるみのほうも、背中や横などは、ペタっと毛を寝せています。

ボルゾイさの耳の形はちょっと難しいです。
たち耳さんだと思うのですが、耳が後側にめくれた(倒れた)感じにしています。
ただ、あみぐるみですので、少しその形(表現)が難しく、若干分かりにくいかと思います。

たっぷりと植毛出来たのではないかと思います。

※作業遅れ気味で申し訳ございません

2015.8.8